鏡台のひきだし

資生堂ドルックス

いつも化粧品は通販や免税店、もしくは大きなデパートで買ってしまう。雑誌でよさそうなのが見つかれば店頭で確認したくなるし、匂いや瓶のデザインで買ってしまうこともある。でも大体がその1本限りで、使用感が気に入って2本目を買うアイテムは数えるほどしかない。
今日はiPodで音楽を聴きたい気分だったのでいつもとは違う道を歩いて帰っていたら、知らなかった店をちょぼちょぼ見つける。なかでも資生堂のポスターを貼ってある感じの化粧品屋さんの前を通ったら、なんだか居たたまれない気持ちになって思わず入ってしまった。買いたいものは特になかったけど、店の奥から品のいいおばあさんが出てきて「いらっしゃいませ」と言うので何か買わなくちゃ、とりあえず除光液でも買おう!と店内を見回すと、懐かしいものを見つけた。この瓶、お母さんの鏡台にいつもあったなあ。子供ごころに、これは大人のもので、きれいな女の人が使うもの、と思いながらどきどきしたもんだった。少し埃をかぶったガラス瓶をおばあさんに渡すと、これは若いひと向きじゃないから・・・と他の化粧品を勧めようとしてくれた。でも、むかし母が使ってたのを思い出したので使ってみたいんです、と包んでもらった。
部屋に帰ってからさっそくお化粧を落として、コットンに化粧水をたっぷり含ませて使う。一昔前のレトロな香り。たしかにちょっと重たい感じもするけど、久しぶりに昔のことをいろいろ思い出した。もう今は電話をしても手紙を書いても届かないところにいる人だけど、そうそういつもこんな香りがしてたんだった。今でもどこかで名前を呼ぶ声が聞こえる気がする。
http://www.shiseido.co.jp/products/brand/index.asp?R=6020