なつやすみ

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

「これを読まずに今年の夏休みを過ごさないでください!」と勧められて借りたのだけど、漫画だと聞いてたのに本がかなり薄いので拍子抜けしてしまう。すぐ読み終わっちゃうじゃない。さっそく帰りの電車の中で読み進みながら、途中から「まさかこうなるんじゃあるまいな」と予想した通りの展開になったにも関わらず、30数ページを読み終える時には目には涙がたまってた。電車の中だし人目もあるのでぐっとこらえるも、いろんな思いが噴き出してきて慌ててハンカチで目をぬぐう。
表題作の初出は2003年9月だけど、これがもしもう数年前に書かれたものだったらこれほど複雑な思いが胸に溢れなかったかもしれない。最近のニュースで聞こえてくる他所の国の心情やその裏にあるものを思うと、ことさらに自分の足元へ続く時間の道のりが重く感じられる。「このお話はまだ終わりません」と締めくくられる言葉がぎゅっと心をつかんで離さない。