お金でかがやく夜空が欲しいの

16分の空中散歩、冷たい夜空をガラスでさえぎり、しずかにじっとまばゆい夜空を眺めていると泣きそうになってしまうの。あと何分たつとまた元の景色に戻ってしまうの? もう一度これを観たいのならまた観覧車の乗車チケットを買えばいい、でもそんなの面白くないもの。ちいさくちいさく見えていた車の灯りがだんだんと大きくなってゆき、観覧車の骨組みが目につくと、なんだかとても哀しくなってしまう。見てご覧、向こうにみえる月が大きくて赤いよ。でもわたし、もっと綺麗なものが見たいわ。
ドアが開き、冷たい夜風が頬や首筋を抜けてゆく。もう移動しようか。そうして夜風にマフラーを飛ばされそうになりながら歩いてゆく。カードキーでロックがはずされ、さあどうぞ、とドアが開かれるとそこには、東京じゅうの街の灯りをひとりじめできる大きな窓。星なんてひとつもみえないけど、息がすこしくるしくなるくらい綺麗。
泡のたつ美味しい飲みものを部屋へ入れてもらおうか、きみが好きなら甘いイチゴも一緒に頼もうか。ううん、イチゴよりも飲みものがほしいきぶん。
綺麗なものと暖かい部屋、美味しい飲みものとふかふかのソファ。とても幸せな気分だけど、なんだかすこし哀しかったのはあれがぜんぶお金で輝いているからなの? でもわたし、こんな夜がだいすきなの。すこし哀しくて、でもすこし幸せな気がする夜がとてもとても好きなの。*1

*1:でもこの日ここで楽しんだのは節分の豆まき。お互いに投げ合って遊んだあと、途中から天井ちかくのエアコンの通風孔へ豆を投げ入れる遊びにスイッチしてゆき、運動会の玉いれをしてるような気分に。掃除をする人の身になってぜひとも考えたくない感じ。