90分

疲れた表情の知人と90分ばかりの話をし、鳥がさえずる青空のなかをじゃあと別れてゆく。私は右に、その人は左に。接点はもうないかもしれない。心中はただその人の幸せを祈るばかり。数歩歩いてふと振り返ると、向こうもこちらを見ていて視線が合った。思わず手を振ったら、向こうは振りかえさずにふいと視線をそらして歩いてゆく。本当に最後まで真面目なひと。どこかでまた鳥の鳴く声が聞こえて、真似をしながら歩いて帰った。