僕のヴィヴィアン・ガールズ

今更だけど、ヘンリー・ダーガーを特集した美術手帖5月号は各記事ともたいへん充実していて、やなぎみわさんと斉藤環さんの記事が特にぐっときて何度か読み返したり、カラーで掲載されてる作品をじろじろと眺めたりした。でも、げんざい原美術館で開催されている「ヘンリー・ダーガー 少女たちの戦いの物語―夢の楽園」展には今のところ興味がなくて、あと残り約3週間の開期もおそらく足を運ばずに終わってしまいそうです。
ですが、美術手帖でも紹介されている、かれのドキュメンタリ・フィルム「In the Realms of the Unreal;the Mystery of Henry Darger」が観てみたい。米国製作でむこうではDVDも出ているけど、まーそのうち日本でも公開するでショと思っていたら、先日映画館でチラシをみつけました。「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」、2008年に渋谷シネマライズで公開だそうです。
社会のなかで静かに影をひそめて生きたダーガーの(他者から見ると)不思議で孤独な人生をひもとくと同時に、このフィルムの魅力はなんと言ってもかれが描きつづけた女の子たちをCGで動かしちゃったところかもしれない。余計なことしてくれるな!と非難もあるかもしれないけど、やはりダーガーが絵を描き文章をしたためてるときに、頭のなかで女の子たちとどんな時間を過ごしたのかを想像すればするほど、かのじょたちが生き生きと動くところを見たくなってしまう。
まだ日本語の公式サイトでは予告編が用意されてないようだけど、米国版の本編(の一部)がこちら。

このフィルムでは少女のナレーションが入るのだけど、この声の主はダコタ・ファニングちゃん。美術手帖の記事内で「かれが身寄りのない少女を養子に迎え入れようとしたがかなわなかった」というくだりをよんで、id:Dirk_Digglerさんと同様に、わたしも「アイ・アム・サム」を思い出してました。なんだかいけない気分でいっぱいです。
 
あと、ヘンリー・ダーガーと同じくくりにはできない人だけど、現代を生きるアウトサイダー・アーティスト、ジミー・ツトム・ミリキタニのドキュメンタリ「ミリキタニの猫」が今年の夏に公開されます。こちらもちょっと観てみたい。
齢80歳にしてNYの路上で絵を描き続けるミリキタニ。米国CATV局PBSのドキュメンタリではこんな感じのひと。

かれ自身のアーティストとしての個性よりも映画としての構成で成功しているというレビューも読んだけど、まあそれはそれでいいんじゃないかと思います。