おはよう

早朝、鳥のさえずりや目覚めたての街の音を窓ごしに聞きながら、すこし汗ばんで眠る額に口づけようとしてやめた。こうして一緒に過ごすために作ってくれた時間。起こしてしまうのはかわいそうなので、そのぶんじろじろと寝顔を眺めていたら、きれいなリズムの寝息と長い睫になぜか胸がつかえてしまって、思わず視線をそらす。写真は時を止めることは出来ても、こういうものまで取り込むことはなかなか出来ない。じきに彼はふと目をさます、それまではこのまま、起こさぬようにじっとしずかに寝息を聞いてよう。すーすー。すーすー。すーすー。